【バイク小説】俺とGS:#31 過去③

バイク小説目次
短編小説 ・俺とGS400:#1 出会い ・俺とGS400:#2 夏の夜と原付 ・俺とGS400:#3 峠道と恋 ・俺とGS400:#4 再会 ・俺とGS400:#5 敵 ・俺とGS400:#6 勝負 ...

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俺はS。華の16歳。愛車はGS400。

随分と久しぶりの更新だが、お話はまだまだ、みの丸とうどん男(一平との出会いだ)

「コカカカッカカカカカッカカ」

「パィインンパィイインン」

みの丸はスロットルを煽る。

一平は仕方なさそうに、GSに跨りエンジンをかけた。

「ドゥルン!」

「パィインンパィイインン」

みの丸「じゃあ、行くよ!」
(下りなら絶対負けないんだから!!)

一平「・・・・」

一平は気怠そうにうなづいた。

「パィイィィィイイイイイイイイイイ」

みの丸はフロントを浮かせながら、スタートした。
スタートは長めのストレートだ。

下りでもみの丸は容赦なくスロットルをあけ、ぐんぐん加速していく。
ミラーに視線を移すと一平が小さく映っていた。

みの丸「ふん!やっぱ大した事ないわね」

そして、一つ目のコーナーに差し掛かった。

みの丸がコーナリング体制に入ろうとした時…。

「ばう~~~ん」

真後ろでGSがエンジンブレーキを掛ける音が聞こえた。

みの丸「なっ!!」

「ドゥルン!ドゥルン!」

一平はスロットルを煽った。

みの丸「くっそが!!!」

みの丸はスロットルを大きく開け、強引にコーナーを駆け抜けた。
白煙が煙幕のようになり、一平の視界を奪う。

「パィイィィィイイイイイイイイイイ」

みの丸「ありえないわ!下りでアタイより迅いなんて!!」

みの丸は焦る気持ちを抑えながら、一平から逃げるように加速した。

ばぁっぁぁぁぁぁぁっぁぁあああああん」

しかし、GSの低い排気音が頭に響いてくる。
一平は真後ろにいる。

もう、すでに勝負はついていた。
真後ろにピタっと張り付く一平。

次の瞬間、外側から一平がみの丸を抜き去った。

みの丸「っちきsっしょう”!!!!」

みの丸は停止して、両手でヘルメットを被った自分の頭をたたき始めた。

みの丸「屈辱だわ…。あんな化石みたいなバイクに…」

みの丸「しかもあんな変な頭したやつに!!!」

みの丸は気を取り直し、一平を追った。
しかし、いくら加速しても一平のテールランプも捕えられなかった。

ふもとの駐車場につくと、一平が一服していた。
みの丸はあふれ出そうになる涙をこらえながら駐車場に入った。

一平「よぉ、遅かったな」

みの丸「ぐ・・・・」

ぐうの音もでないみの丸。涙がこぼれてきた。
あまりの悔しさに、みの丸はまたヘルメットを被ったまま頭をたたき出した。

一平「・・・」
(なんだよこの女…

みの丸「はぁはぁはぁ」

数分間自分の頭を全力でたたき続けた。
こぼれた涙も乾いたので、みの丸はヘルメットをぬいだ。

一平は何事もなかったかのようにタバコを咥えている。

みの丸「あんた何かいう事ないの」

一平「いや、、帰っていいか?」

みの丸「っざけんなよ!!!」

一平「…」
(え?なんで怒ってんだ…)

みの丸「アタイより迅いなんて許せない!!」

一平「そう言われてもなぁ。俺よりおせえじゃん」

みの丸「くぅううううう・・・・」

みの丸はこぼれそうになる涙を必死でこらえた。

一平「まぁ、よくここ来るからよ。またジュース奢ってくれよ。」
(早く帰りてえよ…)

みの丸「絶対だよ!絶対あんたより迅くなってやるんだから!!」

一平「あぁ、じゃあ行くわ」

一平は解放されたかのようにハツラツとGSに跨り去って行った。

俺「・・・・・」

みの丸「これが彼との出会い」

みの丸は頬を赤く染めながら言った。

俺「そうなんだ…」

みの丸「うん…」

なんとも言えなかった。
あまりにも一方的過ぎるみの丸に言葉が出てこなかった。

俺「それで、どうなったの…」

みの丸「峠に通ったわよ。彼に勝つためにね。」

みの丸「そしたら有名になってね、私の親衛隊までできたの」

俺「え?」

みの丸「それが岩袋達なのよ」

俺「なるほど!!」

やっと点と点がつながり、線になった。

みの丸「でもね、そんな時ある事件が起きたの…」

岩袋「アネゴやっぱ迅いですね!!」

数年前の岩袋だ。
老け顔なので特に変わっていなかった。

みの丸「あんたが遅いのよ」

岩袋「そういや最近、キックスの連中が…」

キックスとは黒豆市の暴走族だ。最近急激に勢力を拡大している。

みの丸「族なんか興味ないわよ」

岩袋「いや、でもこの辺にもくるって噂が…」

みの丸「アタイのRDで蹴散らしてやるわよ」

みの丸は岩袋をあしらうように答えた。

するとけたましい排気音が聞こえてきた。

岩袋「すごい台数ですね」

岩袋「のぼってきますよ」

岩袋「あ・・・あねご!!あれ…」

頂上から下を見ると「キックス」の旗と、単車の群れが見えた。

みの丸「ふ~ん。ここじゃアタイに勝てるやつなんかいないよ」

みの丸「びびってんじゃいよ!しゃきっとしな!!」

そう言ってみの丸は岩袋のケツに蹴りを入れた。

岩袋「いや、でも…」

すると、黒い特攻服を身に纏った集団が頂上まできた。

男「おい、ここら仕切ってんのは誰だ」

先頭にいた黒いGPZ400Fに乗った男が言った。
おそらくこいつがリーダーだろう。

黒い特攻服に黒髪のリーゼント。
口髭を生やし、サングラスをしている。
とても10代には見えない。

岩袋「あ・・アネゴ・・・」

岩袋はすがるような目でみの丸を見た。

みの丸は少しニヤけながら言った。

みの丸「アタイだよ」

岩袋「アネゴ!!!なにいうてんねん!!!!」

みの丸の発言に驚きを隠せない岩袋。

男は単車から降り、みの丸に近づいてきた。

男「女に用はねえ。そっちのでかいのが仕切ってんのか」

岩袋「え・・・」

岩袋は近づいてくる男の威圧感に気圧され、尻もちをついてしまった。

みの丸は岩袋の前に立った。

みの丸「こいつはアタイの舎弟だよ」

男「女だからってあんま上等こいてるとやっちまうぞ」

みの丸「あんたにやられるアタイじゃないよ」

男「はっはっはっ!いい根性してんじゃねえか」
男「よく見りゃいい女だしな」

男「俺はキックスのシゲキだ。どうだ俺の女にならねえか」

大体悪役はこのセリフを言う。

みの丸「お断りだよ」

シゲキ「だよなぁ…じゃあさらっちまうか」

みの丸「上等だよ!!!」

みの丸は拳を握った。

「ドス!!」

みの丸「うっ…」

腹部に鈍い痛みが走った。
シゲキの拳がみの丸の腹部にめり込んでいる。

みの丸は体をくの字におり、膝をついてしまった。

岩袋「あ・・!アネゴ!!!!」

→続きのお話

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